システム構成要素と経営的な切り口のマトリック(1)

今回は、以前紹介したワークデザインにおけるシステムの捉え方について考えます。ここで取り上げる例は、ホワイトカラーの業務ではありませんが、最近ある方と話をした介護の現場における「排泄介助」という業務を取り上げて説明します。

この時の話の切り口は、“リスクマネジメント”に関するテーマでしたので、経営的な切り口にリスクを取り上げます。

話を進める上で最初に考えなければならないのは、システムの構成要素である目的の検討です。まず、「排泄介助」の目的を考えます。以前“目的による管理”において述べた“一つの活動に対して目的は複数存在する”という点を思い出して下さい。

「排泄介助」の目的は、

◆被介護者が排泄できる

◆排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる

など、様々な目的が考えられます。しかし、システムを検討する場合は着目する目的を一つに絞ることが必要になります。

何故なら、「被介護者が排泄できる」を目的として選択すれば、リスクマネジメントのシステムとしては、排泄に至るオペレーションの中にあるリスク(環境も含めて)に関して取り上げたシステムを検討すればよいことになります。

一方、「排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる」を目的として選択すると、排泄に至るオペレーションだけでなく、排泄の結果としての便の状態や排泄に至る過程の違い、排泄を訴える被介護者の方の状態などを含め、排泄という一連の行為から健康上のリスクをどのように捉えるかに関しても整理する必要があります。

このように、目的の捉え方で検討するシステムの姿が違ってしまうため、設計しようとするシステムの目的をしっかりと定義することが必要になるのです。このことは、問題解決を考える時も同じです。一般に問題解決の方法(思考法)は、目的や目標が定まってからの事象に有効なものが多く、これらの中に適切な目的や目標を定める方法(思考法)として有効なものが見当たりません。

問題解決の方法論や思考法がうまく活用できないのは、適切な目的や目標を定めることができないためです。如何なる場合においても思考の原点に目的や目標が意識されており、目的や目標をどのように定義(イメージ)するかで、結果の良し悪しが決まるので、目的や目標をどのように定義(イメージ)するかは、良い結果を得るためには大切なことなのです。

目的が定義できたら、経営面の切り口であるリスクとの関係を考えます。ここで考えることは、定義した目的に内在するリスクがあるかどうかという点です。ここでは、先ほど取り上げた目的を題材に考えます。

まず、「被介護者が排泄できる」を目的として選択したとします。この目的を選択した場合のリスクとして考えられることは、

・排泄という行為を目的とすることで、排泄における被介護者の負担を軽視する可能性がある。(下剤の投薬や過剰な水分補給など)

・排泄という行為を目的とすることで、排泄の行為を通しての被介護者のADL等へ貢献を軽視する可能性がある。(個別トイレやおむつなど)

などが上げられます。次に、「排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる」を目的とし選択した場合は、

・排泄という行為を通して被介護者の健康を維持することを目的とすることで、生活の楽しさ、心地良さ、美味しさといった気持を軽視する可能性がある。(多少便秘に成ろうとも好きな食べ物を食べたいという気持ちとのバランスなど)

・排泄という行為を通して被介護者の健康を維持することを目的とすることで、食事・就寝・運動・入浴・排泄・・・などの総合的な健康システムの中に排泄を位置づけて考える過程で、排泄行為そのものを軽視する可能性がある。(被介護者の排泄のし易さや排泄の一連の行動におけるリスクヘッジの面と健康とのバランスなど)

などが上げられます。このように、設計しようとするシステムの構成要素と経営面の切り口を対峙して考えることで、設計するシステムにおいて配慮すべき点を抽出することができます。

次回は、システムの構成要素であるアウトプットについて考えます。

by 尾嶋 繁

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目的と目標の峻別

今回は、目的と目標についてある方と話す機会があり、目標と目的を適切にとらえていないことへの驚きから、私の捉え方を書くことにしました。

普段、私たちは、“目的”と“目標”を意識して区別した活用をしておらず、混同して活用しています。企業において、目的について議論をしていると、皆さんが挙げる目的には、会社の売り上げを伸ばすとか、会社の利益を増やすという言葉が必ず出てきます。忠実な企業戦士らしい思考なのですが、これらの表現は、厳密に言えば目標です。

従って、会社の売上を伸ばすことや利益を増やすことは、単独では意味のない存在です。つまり、売上を伸ばすだけでは意味を見出せないのです。そこに目的を付帯させることで存在の意味を持つことができます。例えば、売上を伸ばすのは会社を存続させるため、利益を増やすのは働く社員に賃金を支払うため、利益を増やすのは新しい事業に投資するため・・・などです。

このように、意味を持たせるものが目的です。しかし、目的には、目標の域にある目的と真の目的(志や存在価値)があります。先ほどの目的表現は“自己目的”と言われるもので、やはり厳密に言えば目標の域にある目的です。

先ほどの例で真の目的を考えます。

→会社を存続させる意味は、会社が行う事業により提供する物やサービスの価値を問います。

→働く社員に賃金を支払うことの直接的な意味は、社員が自分のライフスタイルに合った生活を送るためで、そのライフスタイルには様々なものがあります。

→新しい事業を行うための投資を行うことの直接的な意味は、会社を存続させることです。この目的は真の目的ではありませんので、その意味を問います。つまり、新しく行う事業により提供する物やサービスの価値を問います。

以上のことから分かるように、真の目的は、それぞれに唯一の目的になります。

・目標は、活動の到達点を示します。

・自己目的は、活動が自分(自分たち)にとってどのような価値を見いだせるかについて示します。

・真の目的は、活動の対象にとって、この活動がどのような価値を見いだせるかについて示します。真の目的は、活動の真理を示すものと言っても良いかもしれません。

このように、目標、自己目的、真の目的を、正しく定義し区分し、目標は自己目的の達成のために、目標や自己目的の達成は、真の目的の達成のためにあるという関係を理解して行動することで、バランスの良い仕事を行うことができます。

 このバランスが崩れ、目標や自己目的が強くなり行き過ぎると、不正に手を染めることへの罪悪感を薄めることもあります。昨今の社会保険庁の例や食品偽装などの会見を聞いていると、目標や自己目的が異常に強くなり過ぎた結果だということが分かります。なぜその時、真の目的を自問しなかったのか、残念でなりません。

                                   by 尾嶋 繁

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戦略的な目的の選択について

1.目的による管理の目指すこと

目的(ここでは、自分の利益追求などを定義した「自己目的≒目標」ではなく、自分以外の人や社会や地球などに対する貢献を定義した「真の目的」を指します)は、活動(サービスを含む)や物体及び精神的な拠り所(聖書などの書物に表現されている心に残るもの)などと一体的に存在します。従って、目的のない活動や物体及び精神的な拠り所は存在しないし、もし存在するとすれば不自然なものです。

例えば、自分の利益だけを求めた偽装行動などは、不自然な存在であり、何れ違和感のある存在として浮かび上がるものです。従って、不自然に存在するもの以外は、必ず目的が定義できます。しかし、目的は、絶対的な真理として存在するものではなく、すごく不安定なものです。

私たちは、活動するとき、特に集団で活動するときは、目的を持たなければ状況に応じた臨機応変な対応がタイムリーにできない組織になってしまいます。反対に、目的を共有化した組織は、状況対応力に優れ、組織の方向転換がスムースに行える組織となります。

目的は神経のようなもので、組織の中で繰り返し目的について話し合いを持てば、その神経が太くなります。すると、目的に関連した情報が末端から頭脳となる上層部まで、太いパイプで運ばれ、反対に目的に関連したトップの情報が末端まで素早く流れる組織となるのです。

目的による管理は、このような組織の神経を太くし、組織の存在価値に関する情報が短時間で共有できる組織を目指すものです。

2.戦略的な目的の選択

このよう目的の性質から、どのような目的を設定するかは重要なことで、特に組織の目的は戦略的である必要があります。以前、“上位目的は下位の目的を駆逐する”ということを述べたと思う。たとえば、病院システムの目的は、「(病気やけがなど持った人を)病気やけがなどを直した人」にすることと定義できます。「病気やけがなどを直した人」にすることの目的を問うと、上位の目的は「健常な体を持った人」にするという目的が定義できたとします。この関係を見ると、病院システムは健康(産業)システムに駆逐されることになります。

ただし、ここで考えなければならないことは、各目的に対応するシステムがどの段階にあるかということです。ワークデザイン(G.ナドラー)によれば、システムの段階を上位から、理想システム、理論的に実現可能なシステム、技術的に実現可能なシステム、実現可能なシステムの段階があります。

先の例で、病院システムは、「病気やけがなど持った人を病気やけがなどを直した人」にすることをある程度実現できています。しかし、「健常な体を持った人」を実現するシステムは、未だ確固たる理論も技術も確立されたものがなく、下位の病院システムを駆逐できるまで成熟していないということになります。

これらのことから、戦略的に組織の目的を選択するには少なくとも、

   組織が活動を通して提供するアウトプットが受け入れられる市場がある。

・・・目的は、組織(事業)の対象市場を表しています。先の例では、「病気やけがなど持った人を病気やけがなどを直した人」となる市場があるか?ということです。

   目的を達成するための理論的・技術的な裏付けがある。

・・・目的を達成するためのシステムに、理論的・技術的な裏付けがないものを事業として育てるのであれば良いが、その状態で事業を行うことは不自然な存在のシステムとなります。

という2つのポイントを押さえることが必要です。

追伸、20081226日の日経新聞朝刊で、任天堂社長の岩田聡氏が、「従来の枠にとらわれず、音楽やカメラ機能、健康管理など利用者を笑顔にするものはすべてゲームと定義してみる」と述べています。このことから、任天堂の事業は、「ゲームを通して、利用者を笑顔にする」ことを目的とした事業となり、娯楽やアミューズメントといった領域での「楽しむ」を目的として事業の領域を超えた上位の目的を定義され、上位システムに挑戦する姿勢を感じ取ることができました。

by 尾嶋 繁

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目的による管理の大切さ

今回は、「目的による管理」の大切さや適切な目的を意識することの難しさについて考えます。

 目的という言葉は、日常で良く使われるので、目的を考えましょうと問いかけると分かったつもりになります。分かっているかいないかを確認する時、良い問いかけがあります。

 あなたに会社から与えられた目的は何ですか?

と問いかけます。すると、ある人は、今、会社から与えられた業務(課題)について応えてくれます。ここで確認です。何度も繰り返しになりますが、会社から与えられた業務(課題)は、目的ではなく目標ですね。

 業務(課題)を目的と捉えると、業務(課題)を遂行することが目的となり、何でも良いから遂行すれば良いことになりますから、業務(課題)は目的ではないのです。例えば、道路を造るということを目的とすると、道路を造れば良いことになりますが、本来の目的が、地域の活性化であったとしたら、道路があることで、地域の商店がつぶれ、地域の活性化どころか、過疎化が進むということになるかもしれません。そうであれば、道路を造らず、他の方法を考えるべきなのです。

 またある人は、業務(課題)に与えられた目標について応えてくれます。例えば、売上を伸ばすとか、利益を上げるとかです。これも、目的ではなく、目標ですね。

 適切な目的を意識している人は居るのだろうか?

 今まで、いろいろなところで目的の話をする機会を頂きましたが、最初から適切な目的で応えてくれる方は、殆ど見当たりません。ここには、一つのポイントがあることをある書籍から感じることができました。

 それは、分かったつもり、ということです。

 「分かる」「分かった」という状態には、「本当に分かった」状態と「分かったつもり」の状態があるそうです。(わかったつもり 光文社新書 西林克彦著)

 西林氏曰く、厄介なのは、「分かったつもり」の状態です。「わかったつもり」の状態は、本当は分かっていないのですが、自分では「分かった」と思っている状態ですので、そこから先に進まない状態なのだそうです。

 私の目的の話は、至極当たり前の話なので、話を聞く人は、最初の「目的」という言葉から、自分が持っている過去に経験したイメージや得た知識などを持ち出してすり合わせ、勝手に適合させ、そういうことか!という状態を、各自で作ってしまっていたのではないか?ということです。

 そこで、私は、適切な目的を意識するために、ステークホルダーを定義することを行っています。

 次の例は、目的が見失われる(目的が目標に駆逐される)という話です。

 ある市で、「市民像」なるものを描いて、行政の業務(事業)を評価しようと、市民像の体系を作っていました。なかなか良い市民像体系ができないので、何度も駄目出しをしていましたら、本来は、市民像による評価とプロセスの評価で良いのですが、俗に使われている評価表(チェックリスト)を持ち出してきて、目的適合性などという項目を見たとき、この人は全く、分かっていなかった。今まで何の議論をしていたのだろうかと、愕然としました。

 市民像を作る過程で、800位の市の事業の目的や貢献度を定義していただき、それを元に体系化しようとしていたのですから・・・・。

 

 作ろうとしていた評価体系は、市民像と事業を突き合わせる作業の段階で、目的の適合性は評価されるのです。しかも、市民像に対する貢献度を定義することで、目的の適合度合までも見えるようになっているのですが、分かってくれていなかったのです。

 この担当者は、評価制度を導入することを目的としていたのでしょう。市民に貢献するために業務(事業)の評価制度を導入しているのだという目的を見失ってしまったのです。

 このように、導入当初は目的が議論され、分かったような状態ですが、時間とともに、各自が意識するのは目的ではなく、目標を強く意識してしますのです。ここに、バーナードの以下の記述を思い出す。

バーナード:

著書「経営者の役割」の中で、

 「目的が与えられても、目的が組織を構成する努力を提供している人々によって容認されるのでなければ、協働的活動を鼓舞することにはならない。目的の必要性は知っていても、目的の重要性を認識しそれを意識して活動している人は少ないからである。」

と言っている。

ここに、目的による管理の大切さを感じて頂ければ幸いです。

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目的による管理(4)

今回は、目的を通して物事を捉える方法について考えます。

6.業務(事業)を見直すための目的の活用について

 業務(事業)の見直しで活用する目的は、3段階です。

  ◇ 業務(事業)に最も近い目的

  ◇ 業務(事業)の上位目的との関係で位置づけられた目的(貢献)

  ◇ 業務(事業)の上位目的

 まず、業務(事業)に最も近い目的ですが、この目的を定義するには、業務(事業)のアウトプットとステークホルダーを定義する必要があります。 

 たとえば、食事を作るという活動の例で考えると、それぞれが、

  ◇ 業務(事業)のアウトプット

    →提供する食事

  ◇ 業務(事業)のステークホルダー

    →子供

と定義されると、業務(事業)に最も近い目的は、「食事を提供された子供(にする)」となります。

 次に考えるのは、業務(事業)の上位目的です。どのような上位の目的に位置づけるかということになります。 ここで、どのような目的を選択するかは、置かれている問題意識に左右されます。 例えば、現状の子供の状態で、勉強に集中できず、成績がなかなか良くならないことに問題意識があったとして、目的を「集中力を身につけた子供」と定義したとします。

 最後に、上位で定義した目的と活動の目的を交差させ、業務(事業)の上位目的との関係で位置づけられた目的(貢献)を定義します。これは、貢献目的とも呼んでいます。この例では、「集中力を身につけた子供になるための食事を提供された子供」となります。

 次に、このように定義された貢献目的を満足する具体的な活動(案)計画を検討し実行します。

7.評価尺の設定について

 ここでは、先のように定義された目的をベースに活動した結果をどのように評価するかについて考えます。評価尺を設定するのは、以下の項目です。

 ◇ 業務(事業)のアウトプット

   →計画した食事を提供できたか?

    :提供率

 ◇ 業務(事業)の貢献目的

   →集中力に寄与する栄養素を提供できたか?

    :各栄養素の提供量

 ◇ 業務(事業)のプロセス

   →必要な栄養素を効果的に摂取できる調理方法を実行できたか? 

    :各栄養素の平均摂取効率                  

 ◇ 業務(事業)の上位目的

   →集中力がついたか?

    :自主的な勉強の平均継続時間

 これらの評価尺に関するデータをもとに、相関関係を確認し、効果(寄与度)を確認します。

 たとえば、自主的な勉強の平均持続時間という評価尺を伸ばすには、食事以外の要素も多く含まれるため、直接的な効果を見ることはできませんが、「各栄養素の提供量×各栄養素の平均摂取効率」の値の変化ないしは蓄積量が、「自主的な勉強の平均継続時間」の伸長にどれだけ寄与したかを見ることで、上位目的に対する業務(事業)の効果(寄与度)を評価できます。

 相関がないと判断すれば、栄養素の見直しや摂取量の見直しとともに、他の業務(事業)の寄与度や他の業務(事業)との関係性を確認し、この業務(事業)の必要性を判断します。

 また、「各栄養素の提供量×各栄養素の平均摂取効率」の値と「提供率」の関係を見れば、提供効率を評価することができます。

 このように、目的を定義するだけではなく、評価尺を設定することで、目的による管理が実践できるベースを整えることができます

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目的による管理(3)

前回までは、目的の性格や種類について考えました。今回からは、目的の使い方を考えます。

4.目的を関係者が自覚する

 

 目的は、アドバルーンではなく、関係するメンバーに自覚され、各自の活動に反映できなければ意味がありません。 

 バーナードは著書「経営者の役割」の中で、「目的が与えられても、目的が組織を構成する努力を提供している人々によって容認されるのでなければ、協働的活動を鼓舞することにはならない。目的の必要性は知っていても、目的の重要性を認識しそれを意識して活動している人は少ないからである。」と言っています。

 この問題は、目的の定義の仕方に起因することが多いと思われます。たとえば、関係する人々の間で、各自の立場で目的が「分かった」という姿を定義せず、選択された最上位の目的だけしか与えられていないとすると、各自は自分勝手な解釈の中で、まさしく「分かったつもり」の状態であるかもしれません。

 例えば、どんな事業も「市民の健康に資する」とか「市民の安全に資する」など、上方に位置する抽象的な目的で定義されると、事業の内容を拡大解釈することもできますし、担当の本来の役割や関係者や部門の位置づけなどを有機的に関連付けることなどせず、掲げた目的に対して、事業が貢献したかどうかを判断することもできず、本当にその事業が必要なのかどうかの議論もできません。

 勝手な推論ですが、一般に目的はアドバルーンでよく、その目的の意味を体系的に整理し、組織のメンバーに浸透させようとする組織は、どこにも存在しないのではないかと思います。

 目的は、組織メンバーが活動する方向性を示してくれるものです。 従って、上位の目的に、組織メンバーの各自が担当する活動の目的が位置づけられることに意味があります。

また、目的は、活動(事業、業務など)を取り巻く環境の変化に応じて、現在の目的を検証し、活動の存在価値を常に見直し、活動の方法が良くなければ直し、目的の意義がなければその活動を廃止するという意思決定が行われるべきです。

 従って、目的は、関係者によって方向性と位置付けが理解され、継承されることが大切なのです。

5.目的の定義について 

 

 先のように活動の目的は、上位目的の領域の中に定義され位置づけられることで、具体的に活動の方向性を明確にすることができます。つまり、活動の目的は、単独では存在せず、目的の関係性の中で存在することで、活動の意義(存在価値・合目的性)を担保できるようになります。

 先の食事の例で、食事をする目的は、「必要な栄養素を摂取する」ためと定義した場合、そのことだけでは、摂取する活動には、標準的な摂取すべき栄養素しかイメージできませんが、上位目的として、「オリンピックの陸上競技の短距離走で日本にメダルをもたらす」という目的が定義されていたら、「必要な栄養素」の定義がより具体的に定義され、「・・・筋の増強に良い影響を与える栄養素を摂取する」となります。

 このように、目的は、上位の目的との関係で、具体的なイメージを形成することができるのです。

 何故そうなるのか、と言いますと、目的を上位に展開することは思いの展開であって、ある程度の高さまでは、具体的な意味が目的に定義されるからです。(目的はある階層までは広がり、ある階層から集約が始まります。倫理的に適切な活動に対する目的であれば、上方に展開されると、殆どが「人類平和のため」に集約されます。)

 つまり、活動レベルに近い目的には、具体的な意味を定義することで、活動の方向性や位置づけを明確にできるのです。

 では、目的をどのように活用していけばよいでしょうか?

                                           次号につづく

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目的による管理(2)

3.様々な目的の存在について

 

 目的を考えるとき、目的の階層性や広がりについて考える必要があります。

 例えば、食事をする目的について考えて見ましょう。

 食事をするという行動に対して、その目的を問い掛けると行動に最も近い目的として、「空腹を満たす」という目的が考えられます。次に、「空腹を満たす」という目的の目的を問い掛けると、「仕事をするため」という目的が考えられます。

 また、「仕事をするため」という目的の目的を問い掛けると、「お客さまに提案する」という目的が得られます。次に、「お客さまに提案する」という目的の目的を問い掛けると、「効果的な事業展開できたお客さまになって頂く」という目的が得られます。 そして、「効果的な事業を展開できたお客さまになって頂く」という目的の目的を問い掛けると、「社会に貢献できたお客さま」という目的が得られました。 

 このように、行動の目的から目的の目的を問い掛けていくと、また何らかの目的を得ることができます。そこで、目的には階層性があるということが分かるのではないでしょうか?目的には階層がある訳ですから、行動する時どの階層の目的を達成しようとするかを決めることは、行動の存在価値の高さを決めることになります。

 そして、この目的の階層性から、行動する時どの階層の目的を達成しようとするかを決めることは、行動の存在価値の高さを決めることになることがわかります。

 例えば、単に、空腹を満足すれば良いのか?社会に貢献して頂けるお客さまとなって頂くことを目指すのか?では、明らかに行動の存在価値が違うことが分かります。この行動の価値観の違いは、食事という行動の内容を変えることになります。

 例えば、単に、空腹を満たすだけであれば、量があれば良いでしょう。しかし、社会貢献できるお客さまになって頂くためにと意識すれば、そのような発想ができるように、脳の働きに良い食事や心を豊かにする食事を選択するかも知れません。

 このように、どの目的に意識を置くかで、行動が変わることが分かると思います。したがって、目的の階層性を意識して行動の目的を選択することが大切なのです。

 同じ食事の例で、広がりを確認していきましょう。広がりは、行動の存在価値を発揮する場面とでも言いましょうか、例えば、先ほどは食事を仕事の源という軸で目的を展開しました。

 しかし、食事には、家族という軸でも展開できます。食事をする目的は、「家族と一緒に過ごす」ため、その目的は、「家族とのコミュニケーションを密にする」ため。その目的は、「家族のことを理解し、家族のためにできること見つける」ため、その目的は、「充実した人生を送ることができた家族になる」ためという展開もできます。

 この展開でも、どの階層の目的を選択するかで食事の内容が変わることは同じです。 

このように、行動には目的が一つでは無く、様々な目的が存在するということも理解しなければなりません。

 良く、改善を検討する場面で「目的に対して行動は複数ある」ということが言われていましたが、「行動には複数の目的が存在する」という点も忘れてはいけません。

 改善は、Wayという問い掛けを通して、問題を深堀をしていく思考を基本としますが、目的の管理は、Whatという問い掛けを通して、より高い存在価値を探求する思考を基本とするものです。

次号へつづく

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目的による管理

1.目的を語る上司の魅力

 

 組織の目的を、部下と語れる上司でありたいと思いませんか?

 「会社の方針だから仕方が無いのでそうしてくれ」とか、「そのように決まってしまったからそうしてくれ」などと、自分の言葉ではなく、他人事のような指示を出していませんか?自分たちの夢を語ってくれる上司に恵まれた部下は、幸せです。

 例えば、「行政評価」は何のために行うのでしょうか?国が行政評価をしろと言われるから行うのでしょうか?市町村長をはじめ行政のトップは、行政評価の目的をどのように語っているのでしょうか?行政のトップは、「行政評価をどのような目的で導入する」と自分の意志と言葉で語ることができているでしょうか?

 もし、自分の言葉で語ることができていないトップであるなら、行政評価の導入は失敗するでしょう。悪く言えば、形式化/形骸化した行政評価を実行して税金の無駄遣いになっているかもしれません。

 また、会社のトップは、夢を語っているでしょうか?売上や利益だけではないでしょうか?夢が無い売上目標は、ノルマでしかなく、前向きで健全な組織メンバーの気持ちをないがしろにしてしまいます。 組織メンバーの意欲と能力を引き出すためには、行動に目的が無くてはなりません。

 目的には、組織メンバーの意欲と能力を引き出す力があります。

 目的には、思いが込められます。この目的に込められた思いが、適切で、分かりやすいものであればあるほど、多くの人を引き付けることができるのです。

目的が語れる上司は部下にとって魅力ある上司であることは間違いありません。

2.適切な目的とは

 

 目的を語るとき、その目的が、適切かどうかは重要なことです。

 適切な目的は、人を感動させ、共鳴させることができますが、

 不適切な目的は、人を欺き、人を不幸にします。

 例えば、「利益を出す」ということは目的になるのか?ということを考えましょう。

 利益は何のために出すのでしょうか?利益は組織の存続のためにという目的ですか?利益は組織を存続させるためには必要なことですが、そもそも、その組織の存在価値はあるのでしょうか?

 もし、その組織の存在価値が無く、その組織を存在させることを目的として、組織メンバーの方々が利益を上げることに奔走しているのであれば、組織メンバーの方々は、不幸であると思いませんか?昔言われた、エコノミックアニマルとは、このような組織に対して言われたのではないでしょうか?

 確かに、組織が無くなると、一時的に不安になるかもしれません。しかし、社会に求められない組織の存続のために、何故に頑張らなければならないのでしょうか?同じ努力をするのであれば、社会のためになる努力をしたいものです。

 結局、「利益を出す」や「組織を存続させる」という言葉は、目標にはなるが、目的にはなり得ないのです。このような目標のために行動せざるを得ない人たちは、この仕事を通して「心が蝕まれていく」ように思えます。

 適切な目的とは、その目的を抱いて仕事をすることで、組織メンバーは、

 人間性が磨かれ、社会に貢献でき、充実した人生を送ることができる目的

ということになります。

 以上述べてきたように、今日使われる目的には、不適切な(偽りの)目的と適切な(真の)目的がありました。

 そこで、適切な(真の)目的をどのように考えれば良いのでしょうか?適切な(真の)目的は、組織の存在価値を表現したものです。存在価値は、組織のステークホルダーから見た存在価値であり、組織メンバーの自己目的的な存在価値ではありません。

 最近、行政の不祥事が頻繁に報じられるようになって、存在価値を問われる組織も有ります。

 適切な(真の)目的を捉えていれば、このような組織の存続に関する議論では無く、単に不正を働いた方々のみ罰せられる問題であったのではないでしょうか?

                                    次号へつづく

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業務革新の基本的な進め方の概要⑩

2.業務革新のステップの概要説明

   (7)現状とのギャップを確認し、課題を計画する。

        ①現状の業務システムを評価し、改善業務を計画する。

        ②業務基準書(検討表)を作成する。

          詳細内容につきましては以下をクリックして下さい。

             「07.1.11.pdf」をダウンロード

次回は『第Ⅱ部 業務革新の実践 : Ⅰ.業務革新で捉える業務について』です。

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業務革新の基本的な進め方の概要⑨

2.業務革新のステップの概要説明

(6)業務機能を定義し、業務手続を設計する。

  ①業務機能を定義し、業務手続きの概念を設定する。

   ここでの業務機能は、『A状態』を『B状態』へ変換する、という状態の変換の言葉で定義する。

  以下をクリックして下さい。

  「07.1,9.pdf」をダウンロード

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次回は『現状とのギャップを確認し、課題を計画する』です。

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業務革新の基本的な進め方の概要⑧

2.業務革新のステップの概要説明

(5)業務インプットを定義する。

  前述のステップで、システムのアウトプットについて検討してきた。

  ここでは、システムを設計する時に必要となるもう一つの側面であるインプットの設計について検討する。

  業務インプットを設定する手順は以下の通りである。  

以下をクリックして下さい。

「061201.pdf」をダウンロード

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次回は『業務機能を定義し、業務手続を設計する』です。

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業務革新の基本的な進め方の概要⑦

2.業務革新のステップの概要説明

(4)部門の業務アウトプットの貢献度を定義する。

  前述のステップで、設定した目的を達成するために必要な部門の業務アウトプットを定義した。

 ここでは、その部門の業務アウトプットを取捨て選択する場合の目安となる「貢献度」を検討する。

  

内容につきましては、以下をクリックして下さい。

「061116.pdf」をダウンロード    

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次回は『業務インプットを定義する』です。

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業務革新の基本的な進め方の概要⑥

2.業務革新のステップの概要説明

⑶部門の業務アウトプットを定義する。

  部門の業務アウトプットを定義するためには、まず、目標とした達成状態の姿が、どのような状態になっていれば良いかについて明確にする必要がある。

  そして、その個々の状態が、目標とした達成状態の姿を構成するサブシステムとなる。

  部門の業務アウトプットの定義は、以下の手順で行う。

  

内容につきましては、以下をクリックして下さい。

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次回は『部門の業務アウトプットの貢献度を定義する』です。

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業務革新の基本的な進め方の概要⑤

2.業務革新のステップの概要説明

(2)部門アウトプットを定義する。

①部門アウトプットとは

  内容につきましては、以下をクリックして下さい。

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次回は『部門の業務アウトプットを定義する』です。

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Ⅲ業務革新の基本的な進め方の概要③

2.業務革新のステップの概要説明

⑴部門の存在目的を定義する。

③目的の設定にあたっての注意

各目的の設定にあたって注意したいことを以下に示す。

ア) 目的展開が手順とならないようにする。

たとえば、「受注情報を提供するため」とは何のためか問い掛け、「生産を準備するため」それは何のための問い掛け、「生産をするため」そしてそれは何のための問い掛け、「出荷するため」となったとする。

こうなると、目的の展開ではなく手順となり、何のためという質の表現が見えなくなる。

手順の表現が全く入らない様にするには、大変難しいことであるので、入ったとしても、質の表現が伴うように配慮することが必要である。

イ) 目的の質の表現には、具体的な評価尺度を表す表現は避けたい。

目的の質の表現には、評価尺度を表す表現となる。

しかし、目的展開は抽象度を上げることで、現在捕らわれている「見せ掛けの制約条件(これはそういうものだと、根拠がないのに思い込んでしまっていること)」を取り払うという意義があるので、そのことから考えると、質の表現は出来るだけ抽象度の高い表現で表す様にすべきだということになる。

 つまり、具体的な表現は避け、出来るだけ抽象的な表現で「質」の表現をするということである。

(例)は以下をクリックして下さい

「061921.pdf」をダウンロード

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Ⅲ業務革新の基本的な進め方の概要③

2.業務革新のステップの概要説明

⑴部門の存在目的を定義する。

①組織目的を設定する

組織の目的を設定するにあたっては、以下の手順で検討する。

 a.まず、目的を設定するシステム(機能・業務・制度等)を選択する。

 b.次に、そのシステムの対象(システム、人、組織等)、その対象の対象、また次の対象と言うように、三段階の対象を設定する。

 c.そして、以下に示す各レベルで「それは何のために」という問い掛けをして、目的を設定する。

    レベル1:システムが対象に対して何を提供(アウトプット)しようとしているか

    レベル2:システムの対象へ、どのように影響(対象のA状態からB状態への変換として捉える)しようとしているか

    レベル3:システムの対象が、次の対象に対して何を提供(アウトプット)しようとしているか

    レベル4:システムの対象の対象がどのように影響(対象のA状態からB状態への変換として捉える)しようとしているか

    レベル5:システムの対象の対象が、次の対象に対して何を提供(アウトプット)しようとしているか

 この問い掛けを繰り返して行くと、最終的に、対象が社会全体となり、その目的として「人類平和のために」という上位の目的に辿り着く。

実際には、そこまで検討する必要はないが、少なくとも、企業レベルの目的を意識できるレベルまで検討することが必要である。

 何故なら、各部門が企業の目的レベルまで展開できていれば、企業の目的展開図が作成でき、それが、バーナードが言う「協働的活動を鼓舞する」ことに繋がるのである。

 d.全ての目的検討資料を確認し、目的体系を整理する。

 e.各組織(部ないしは課・室レベル)における検討の対象となる「目的」を設定する。

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Ⅲ業務革新の基本的な進め方の概要②

2.業務革新のステップの概要説明

⑴部門の存在目的を定義する。

①目的とは

 目的については、従来から「活動の目的について良く考えて行動するように」といった訓示の中でよく耳にする。

しかし、目的について真剣に配慮した活動は少ない。

これは、セミナー等で突然問い掛けた時の受講生の反応を見ると、より一層の確信を持つことが出来る。

何故なら、誰一人として、即答できる人はおらず、中には「心の準備が出来ていないから」という人までいる。

日常の活動で、目的を意識した活動をしていれば、何時、どんな状況で聞かれても即答できるのではと思うのだが?

 一方、目的について真剣に考えたことのない人が、講演などで目的の必要性だけをのべたものであると、その反応は「そんなことは当たり前、この講演は役に立たない」という。

実際には、その当たり前が出来ていないのではないかと思うのだが、自覚症状の無い人は幸せである。

 バーナードは著書「経営者の役割」の中で、

 「目的が与えられても、目的が組織を構成する努力を提供している人々によって容認されるのでなければ、協働的活動を鼓舞することにはならない。」

と言っている。

 このことから、一般の企業において、協働的活動が上手く展開できない理由がよく理解できる。

何故なら、前述のように目的の必要性は知っていても、目的の重要性を認識しそれを意識して活動している人は少ないからである。

 また、目的について、ニラクル・ルーマンは著書「目的概念とシステム合理性」の中で、

  • 目的は、予期なのであって出来事ではない。
  • 目的が向かうのは抽象によって選び出された効果であり、具体的な状況ではない。
  • 目的は、未来の、つまり時間的に離れた状態に注目する。等々」

と述べている。

 

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Ⅲ業務革新の基本的な進め方の概要①

1、業務革新のステップ

業務革新活動の基本的なステップは以下の通りである。

ステップ1 : 部門の所在目的を定義する。

  目的の展開は、現在業務の実施目的を再認識し、部門のあるべき目的を再構築することを狙いとする。

ステップ2 : 部門アウトプットを定義する。

 選択した目的レベルへの段階的な働きかけ(OUTPUT)を明確にし、設計しようとする業務システムの目標を明らかにする。

ステップ3 : 部門の業務アウトプットを定義する。

 設計しようとする業務システムには、どの様なOUTPUT(働きかけ)が必要になるかを検討する。

ステップ4 : 部門の業務アウトプットの貢献度を定義する。

 部門の業務アウトプットの貢献度をそれぞれの目標(目的)領域単位で検討し、貢献度の全体の位置づけを明確にする。

ステップ5 : 業務インプットを定義する。

 設計しようとする業務システムのOUTPUTを基に、必要となるINPUTを探索する。

ステップ6 : 業務機能を定義し、業務手続を設計する。

 INPUTからOUTPUTへのシステムとしての業務を設計する。

ステップ7 : 現状とのギャップを確認し、課題を計画する。

 改善・設計のテーマを明確にし、その実行計画を立案する。

         

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Ⅱ業務革新のための基本的な思考④

3、機能中心思考からアウトプット(中心)思考へ

⑶アウトプット思考におけるアウトプットと機能の捉え方

 ①アウトプットの捉え方

   アウトプット思考におけるアウトプットの捉え方は、大きく分けて二つのアウトプットのスタイルがある。

それは、

  • 一つは、業務システムから出される結果としてのアウトプット
  • もう一つは、業務システムの結果の影響を受ける対象の変化の到達点としてのアウトプット

である。

 ここで、前者のアウトプットは、目的達成のための「働きかけ」として捉えられるアウトプットである。

そして、後者のアウトプットは、目標として設定されたシステムの「目的達成状態」としてのアウトプットである。

 従って、前者のアウトプットは、業務システムそのものを設計するときに用いられるもので、後者のアウトプットは、その業務システムの評価尺を設定するときに用いられるものである。

 この二つのアウトプットの関係を以下に示す。

「aut3-1.xls」をダウンロード

 ②機能の捉え方

 機能は抽象的に捉えるのではなく、できるかぎり構造的に捉えることが必要である。

なぜなら、

 機能を抽象的に定義してしまうと再現性がなくなり、ある限られた人にしか運用できなくなる。

しかし、しすてむにとって、最も大切なことは再現性の確保である。

 したがって、再現性を確保するためには、機能を曖昧な表現で捉えるのではなく、アウトプットをベースとした構造的な機能として捉えるべきである。

 具体的には、機能をインプットからアウトプットへの変換(働き)として定義し、構造的に捉える。(この捉え方は、E.Ⅴ.クリックのシステムを状態の変換として捉える考え方を応用したものである。)

 このように機能を構造的に捉えれば、検討の方向性や範囲を具体的に定義でき、検討過程における議論をムダに発散させることが少なくなる。

つまり、機能を構造的に捉えることで、方策の具体化の議論を効果的に集中できるのである。

 一般的な機能の設計は、予めシステムを想定し、そのシステムの機能について検討する。

例えば、「やかん」というシステムを想定し、その機能を「液体を蓄える」「熱を伝道する」というように抽出し、検討する。

 しかし、構造的な機能の設計は、まず、アウトプットを設計することから始める。

先ほどの「やかん」というシステムを例にすると、まず、何を得たいのか(どの様な状態をイメージしているのか)を検討する。

ここでは、「やかん」というシステムは一度脇に置いておく。

そして、得ようとするアウトプット、例えば、「カップの中にあるお湯」という状態を描く。

 次に、「カップの中にあるお湯」に最も近いインプット状態を検討し、「湯沸し器から出る湯」や「水道の蛇口から出る水」といったインプットを得たとする。

 ここで、システムのアウトプットとインプットが得られた訳でであるから、我々が得ようとする状態を実現するシステムは、「湯沸し器から出る湯をカップの中にあるお湯に変換するシステム」と「水道の蛇口から出る水をカップの中にあるお湯に変換するシステム」の二つを得る事ができた。

この二つのシステムから実現可能なシステムを選択し、業務を設計する。

「aut3-2.xls」をダウンロード

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Ⅱ業務革新のための基本的な思考③

3、機能中心思考からアウトプット(中心)思考へ

 ここでは、機能とアウトプットについて、

  ・機能は働きかけの活動を定義したもの

  ・アウトプットは働きかけの結果を定義したもの

として捉える。

⑴機能中心の思考は活動過程を問う思考

 機能は働きかけの活動を定義したものであるから、自ら活動の過程に対して言及する傾向にある。

たとえば、機能の定義の仕方をみると、

  機能定義 : 何々を何々する。(名詞 + 動詞) 

というように、活動を定義したものになっている。

 機能の定義で代表的な方法としてワークデザインにおける機能展開があるが、これは、活動の範囲を徐々に拡大していくように展開する方法と言って良いだろう。

⑵アウトプット中心の思考は活動結果を問う思考

 アウトプットは働きかけの結果を定義したものであり、自ずと活動の結果、つまり、活動によってもたらせられる効果や期待及び目的について言及することになる。

 たとえば、アウトプットの定義は、

  アウトプットの定義 : 何々を何々にする。(状態A → 状態B)

と言うように、活動の結果に対して、その活動の影響を受ける対象の変化を定義している。

つまり、アウトプット思考は、活動の結果がもたらす影響を受ける対象の変化に対して、全方位的視点に立って検討する思考法であると言える。

 また、活動結果を問う思考法は、活動の結果としての状態の変化を問う思考であるから、自ずと、活動環境の変化を問うことになる。

従って、変化への追従を意識せずにはいられない思考法とも言える。

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Ⅱ業務革新のための基本的な思考②

2、効率性の追求の前に効果性の追及

 業務システムを検討するには、効果性と効率性を区別し、段階的に設計を進めることが大切である。

 ここで、まず考えたいことは、現在の活動をより良くし、将来ともその効果を得ようとする効率化の思考には、限界があるということである。

効率化の検討は、現状の状態を前提とし、その状態を閉じて検討する。

そのために、効率化は、現状の状態が比較的長い期間、保証される状況下では有効な思考となるが、しかし、この保証がいったん反故にされた状況では、有効性を失う。

何故なら、現在の活動が、組織にとって効果的でなければ、その活動を前提とした検討は、一切無駄になってしまうからである。

 つまり、効率化の思考は、効果が前提として保証されている状況において有効であり、その保証が無い状況では、有効性を保証できないのである。

 したがって、システムを検討する場合には、

 「まず、その効果を保証する状況を作り上げてから、そのシステムの効率化を検討する」

ということが大切になる。

 また、効率化の議論は、活動過程の議論でもある。

つまり、結果を得るための活動過程を、いかに少ない資源で達成するかを検討することが効率化である。

従って、効率化を重視した時代は、活動のプロセスの大切さを唱えた。

このような時代では、活動のプロセスの評価が、活動の実績の評価にほぼ比例するという認識が前提であった。

 しかし、活動のプロセスそのものが次に生かせない時代では、現在の活動のプロセスを前提に物事を問うことに、意味を持たなくなる。

また、活動のプロセスを評価しても、実際の成果に結びつかないという状況であれば、組織として、活動のプロセスを評価することの意味がなくなるし、そのような悠長なことを言っている余裕がなくなる。

 そして、このような状況下では、活動のプロセスは個人の能力向上における努力に任せ、その能力向上を支援するシステムを組織は用意すれば良い。

そして、その支援システムを活用するかどうかは個人の問題として捉え、活用率の向上はそのシステムを提供する組織の問題として捉えるようにすればよいのである。

 つまり、過去の活動の経験がダイレクトに生かせない状況(過去の経験を生かす状況は、様々な経験の部分的で応用的な生かし方になる。

つまり、ある経験でのAという状況と別の全く違うある経験でのBという状況等々様々な状況における経験をベースにしなければ、将来の状況を予測できないという状況)では、活動過程を問うのではなく、活動の結果を常に問う思考に変換し、過去の経験の統合を容易にできる思考に転換しなければならない。

 このように、効率化を問うことの意義が徐々に薄れていく今日、効率化の検討は効果性を保証できるシステムが確立されてからでも遅くない。

逆に、効果性を検討しなければ、新たにくる将来のパラダイムの変革に乗り遅れることになる。

 ここで、一般に、組織のパラダイムの変革には、長い時間か大きな圧力を必要とするが、効率化は比較的容易に、しかも短時間で実現できるものであると捉えることができれば、効率化の検討は、効果性の検討に十分な時間をかけた後でも遅くないということになる。

もし、乗り遅れたとしても、効率化は取り返しが容易なテーマでもある。

しかし、効果性は、乗り遅れると、企業そのものの存続に関わる問題にも発展しかねないテーマであることを認識したい。

 そして、システムの効果性を評価する場合、100点満点のシステムを期待できるケースは少ないということも認識しておきたい。

何故なら、効果のあるシステムの検討は、将来を仮に定義した検討であるから、将来の状況が多少でも変化すれば100点満点のシステムにはならないのである。

将来の定義が漏れなく設定できる訳がなく、100点満点を期待する方が問題である。

 しかし、もし、将来において100点満点のシステムができていたとすると、その経験の方が問題となることが多い。

何故なら、100点満点のシステムを一時でも経験すれば、人はそのシステムに愛着心を抱き、そのシステムを維持しようとする心理が働き硬直化へ突き進むことになるからである。

 そのような観点からも、変化への追従性を良くしたいのなら、100点満点のシステムを作ってはいけないと言うことになる。

かえって、60点程度のシステムの方が、将来を考えると有効な場合が多い。

つまり、60点程度のシステムで状況の変化に適切に追従していた方が言いということである。

 以上、効率性と効果性はこのように考えたいものである。

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Ⅱ業務革新のための基本的な思考①

1、業務の革新度とは

  ここで、業務の革新度は以下のように捉える。

   業務革新度=効果性×効率性

 ここで、効果性とは、「業務活動の効果が、その業務が達成しようとしている目的に対して、どの程度実際に貢献できたかを見るもの」と定義する。

 一方、効果性とは、「業務活動の結果に対する効果性を前提して、業務そのものが如何に効率的に処理されたかを見るもの」とする。

 つまり、どんなに効率的に業務を処理しようと努力しても、その努力は総合的に見ると、効果性の範囲内での努力の効果であり、元々効果性の低い業務であれば、如何に努力しても業務の革新度は低いということである。

そのような場合は、その努力をする前に、その業務の存在価値を問うべきだということである。

これは、しごく当然のことである。

 この時大切なのは、効果性の捉え方である。

一般的には、この捉え方が楽観的であり、業務革新へ結びつく「本来求められている効果性」とは程遠いものであることが多い。

何故なら、一般的に効果性として捉えているものは、次元が低い業務の直接的な効果という捉え方であり、これでは、業務の存在価値を問うても、その業務の現在の必要性が強調されるだけである。

そこで、業務の革新を意識する効果性は、効果性の定義をより次元の高い、より抽象度の高いもので設定しなければ成らない。

 このような「効果性×効率性」の考え方をベースに業務革新を捉えると、業務は将来に渡って継続的に革新すべきものであることが分かる。

 また、この「効果性×効率性」は、以下のようなイメージで捉える事ができる。

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業務革新の進め方⑥ー⑸

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑸システムは、イレギュラーな状況に目を奪われず、ありたい論で検討する。

 変革を促そうとして、良くぶつかる壁は、それは、イレギュラーな状況を想定した反対意見である。

 検討の最初の段階で、このイレギュラーな状況を検討することは、検討を止めることと同じである。

基本的な方向性が不十分な状況で、評論家は要らない。

欲しいのは開拓者である。

 つまり、開拓の精神を持って、基本的なシステムを構築し、そのシステムでカバーできない状況は、出来る限り取り除くように環境の改善や意識の改革(システムのイレギュラーな状態を発生させる要因として、システムに関係する人々の意識がある。)を推進できる人材が必要である。

 ここで、対象とする業務推進システムである間接部門の業務は、常にイレギュラーな状況の元で実行されていると考えれば、間接部門の業務の構築は、レギュラリティを前提に基幹システムを構築し、イレギュラーな状況への対応は、日常の業務の中で対応するように考えればよい。

 何故なら、イレギュラーな状況には、絶対避けられない状況は少なく、人的要因(意識の欠如によるイレギュラーの発生等)が大半であるから、その改革を推進することで、徐々に収束してくるものでもある。

 また、目標とする状態(目的の達成状態)のシナリオは、あくまでも、「ありたい論」で描き、「べき論」で描くことは避けるべきである。

何故なら、「べき論」で展開したシナリオは、基本的に「変化を嫌う」からである。

 「変化を嫌う」ということは、状況の変化に柔軟な対応ができないと言うことでもある。

「べき論」思考の落とし穴は、状況の変化に対応するために、基本的な原則の変化を求めているにも関わらず、原則を変えることはせず、繕いを始めてしまうことである。

その結果、ごちゃごちゃに絡まったシステム群ができ上がる。

そのようなしすてむは、システムそのものの目的を達成するためのものというよりは、システムを守ることに主眼をおいて運営されるようになる。

 このようなジレンマに陥らないために、基本的な思考は、「ありたい論」で展開したいものである。

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業務革新の進め方⑥ー⑷ー②・③

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑷システムは単独では存在しない(関連を意識する)

②システムは影響を与えようとするシステムの変化に応じて、自らを変革すべきである。

また、各システムは影響を与えようとするシステムにとって何が必要かを問うべきである。

 システム設計において大切な事は、システムの自立を目的として検討するのではなく、システムの共生を目的として検討することが大切である。

たとえば、企業システムを捉えた場合、企業システムは、社会しすてむという大きなシステムの正常な変化の流れに応じて、自らを変化させるということである。

つまり、企業自身が社会システムへの追従のための変化を積極的に推進しなければならないということである。

そして、この変化は、できる限り社会システムからの信号を受け取ってから動くのではなく、その前に感知し行動すべきである。

 そのためには、常の、各システムが影響を及ぼす対象となるシステムを意識し、そのシステムに何を求めているかを問うことが必要である。

 たとえば、従業員を対象とする福利厚生システムを考えてみて頂きたい。

福利厚生システムは、基本的には「賃金以外で従業員が求めているものに対して、会社としてできる範囲のことをする」ということではないか。

 ここで知るべきことは、具体的な施策で何を欲しているかではなく、彼らがどの様な状況を創りたいと考えているかである。

たとえば、どんな家が欲しいとか、余暇をどんな風に過ごしたいといったものである。

そして、具体的な施策は、専門家である福利厚生担当が、その能力を発揮して従業員の欲している状況を作り上げるための仕事をすることで立案するものである。

 この様に、対象のシステムがどんな状況を欲しているのかを知ることがまず大切であり、そのために何をするかは、検討する各システムの本来の仕事であると認識すべきである。

③各システムは影響を受けるシステムに対して何が欲しいか明確にすべきである。

 各システムが関連を持って存在しているが、一つのシステムが全てのシステムを意識しすることは実務的ではない。

そこで、各システムは、働きかけを欲するシステムに対して、欲するものを明確にすればよいということになる。

 そうすれば、各システムに対して要求される状況が見やすくなる。

そうなれば、各システムに対して要求される状況が見やすくなる。

そうなれば、各システムは、どのシステムを対象に何を提供すればよいかを整理するのが容易になる。

 このように、各システムは、各システムの責任として、自システムは何を求めているかを公の場に明言することが必要である。

 そして、そのためには、各システムが何を目的として存在しているかが判るようになっていなければ成らないのは当然のことである。

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業務革新の進め方⑥ー⑷ー①

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑷システムは単独では存在しない(関連を意識する)

 システムを検討する時、伝統的な手法は、対象とするシステムを単独で取り扱おうとする。

何故なら、システムの具体化を検討する段階で、システムをオープンに捉えていては収拾がつかなくなるからである。

 しかし、曖昧さの残る段階から機械的に閉じて検討することが良いということではない。

むしろ、曖昧さの残る段階では、できる限り他のシステムとの関わりの可能性を残すために、オープンに検討することが必要である。

 とは言っても、議論が熟さないこともある。

その時、時間切れのタイマーのように無常な終焉(疲れから来る妥協や苛立ちからくる強制的な収束)を抑えるのは得策ではない。

それは正しく、「効果の無いものに手間を掛けて改善する程のムダ」に匹敵する。

 このような状況に陥らないためには、システムの検討において、各システムがもたらすアウトプットの影響を先ず検討すべきである。

「アウトプット(仕事の結果)」は、特定の対象に何らかの影響を及ぼすものであるという前提に立てば、当然のことである。

 以上のように、しすてむは、その活動(仕事)の結果としてのアウトプットによって、他のシステムに働きかける。

そして、その働きかけの程度が、そのシステムの存在価値を問うといっても過言ではない。

 以下に、システムを検討する場合の価値観を列記する。

 ①各システムは他のシステムに影響を与えることで存在価値がある。

   ここでは、「システムが何故にその存在価値をあぴーるできるのか」について考える。

この世の中で存在し、活動している全てのものは「しすてむ」として捉えることができる。

たとえば、地球上に存在する様々な動物は各々に適した食料より得られるエネルギーで活動する。

   そして、その動物から出される結果(たとえば、何かに力を加えるとか、排泄物とか、等々)がたのシステムの活動の資源になったり、他のシステムの活動に影響する。

地球上における自然のメカニズムをべーすとしたシステムは、それぞれのシステムのバランスが巧く調和しており、それぞれのシステムが作り出す結果が循環するようなメカニズムであると言われる。

   ここで、会社というシステムを考えると、

   ・社会での存在価値は何かを問うことにより、企業活動の理念を見いだし、従業員が胸を張って活動できる会社

   を目指すべきである。

   つまり、利益だけを追求する企業は、企業をクローズドに捉えた会社システムを追求していると気付くべきである。

そして、企業は社会システムの中に存在し、その社会システムに貢献することで存在価値があるという価値観(つまり、会社システムをオープンシステムとして捉える価値観)を持つべきである。

 以上のようにどの様なシステムでも単独では存在しておらず、他のシステムと何らかの関連をもって、その存在価値が生まれると言ってもよいだろう。

                            続く

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業務革新の進め方⑥ー⑶

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑶目先の成果よりも将来の糧を

 ここで検討したいことは、目先の成果を得るために将来の糧を得る芽を摘み取ってはいけないということである。

つまり、目先の成果は将来のためになるとは限らないという前提に立つということである。

 たとえば、短絡的に実施されている「人員削減」や「経費節減」は、コストの削減といった目先の成果を得ようとして実施されることが多い。

ここで、人員削減や経費削減を将来の見極めなしで実施する事の問題点を列挙すると以下のようなものが挙げられる。

  • 企業にとって基本的な機能を削ぎ落とす危険
  • 企業の将来を左右する一見遊び的な活動を軽視する危険
  • 傲慢な進め方により、経営機能の偏りを生む危険
  • 急激な変化に対する組織のストレスを生じる危険

  (たががゆるむとリバウンドする危険:減量経営時代⇒バブル景気)

実際には、このような状況を作りだすのは、経営者(オーナーは除く)であり、管理者である。

経営責任や管理責任を問わず、短絡的な人員削減はすべきではないと考える。

 ここで考えて頂きたいことは、現在の活動は、常に将来の延長線上にある第一歩であるという認識を持つことである。

つまり、第一歩は軽率に踏み出すべきではないということである。

 そして、活動の基本は組織構成員の全員が、プラスイメージを持つように仕掛けることである。

何故なら、プラスイメージは、将来の状況を描くために重要な役割を演じてくれるからである。

たとえば、将来の状況は、過去の資産の上に無いと仮定すれば、正しく、開拓精神が必要となる。

そして、開拓する時に、あれはダメ、これもダメではなにも出来ない。

とにかく、開拓できた時の状況を想定し、活動しなくてはやっていけない。

つまり、開拓精神は、プラスイメージなのである。

 ここで、経営者の方々には、企業の方向性(夢のあるビジョン)を描き、プラスイメージの方向に従業員の意識を向けることに努力して頂きたい。

そして、組織の力を一点に集中させ、難局に立ち向かわせるように仕掛けて頂きたい。

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業務革新の進め方⑥ー⑵

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑵前提は変わるものとして将来を再定義する。

 ここでは、前提は変わらず、過去からの延長線上に未来があるという思考から、過去からの延長線上に未来があるとは限らないと仮定することを考える。

たとえば、「円高という経営環境の変化」について見た時、円高により、もはや過去の事業基盤は崩れていると見るか、崩れていないと見るかは問題ではない。

ここで大切なことは、一度、過去の事業基盤は崩れていると定義し直すということである。

 たとえば、前提を1ドル80円時代と定義すれば、この時の賃金の捉え方として、従来の様に労働時間をベースにした労賃で捉えられていては、とても世界に太刀打ち出来ないであろう。

ましてや、拘束された業務ならともかく、結果を求められている業務においても、残業という捉え方を用いているとすれば、それは、いわずもがなである。

 このように、1ドル80円時代では、賃金に関わらず、あらゆる経営の仕組みが変化を要求されているのである。

したがって、その変化を捉え、経営の前提を再定義し、将来をそこから定義し直すことが必要なのである。

しかし、この変化は、各企業によって、捉え方が違って構わない。

何故なら、これからの変化は、企業の置かれている状況によって変わるのであるから、従来の横並び意識は必要ない。

各企業独自戦略により、対応すべきものである。

 しかし、勘違いしてはならないことは、将来を予測することではなく、将来を定義するということである。

 たとえば、従来の長期経営計画の立案過程を見ると、企業の置かれている状況もさることながら、経済の動向は勿論、社会情勢等の情報を収拾し、将来の状況を再定義し、経営計画の目標が達成できるかどうかに対して、一喜一憂している状況が眼に浮かぶ、ここで疑問に思うことは、

 ★なぜ、大量の費用と工数を掛けて、将来の経済動向や社会情勢等のデータを収拾しなければ成らなかったのか。

情報を収拾したが、

 ★今日の円高を予測した企業はどのくらいあったであろうか。

ここで、将来の状況は常に変わる要素を隠し持っているということを忘れていなかったか、過去の延長線上に未来は無いという今日、将来の予測に大量の費用を投入するのは、経営判断として間違っていないか、等を問い直す必要がある。

 つまり、将来の状況を再定義するということは、将来の動向を確認することではなく、将来の動向に関係なく、企業の成りたい姿をまず描くことであり、そして、この成りたい姿を実現するための状況を再定義することである。

この時、この状況とは企業内の企業としての状況であり、経済動向とか、社会情勢といったものではない。

これらの経済動向とか、社会情勢状況は、先に描いた「企業の成りたい姿」を達成するための具体的な活動をする時(つまり、年次経営計画の段階)に必要となるものであるが、ここでは必要ない。

 したがって、長期経営計画に必要とされる情報は、「企業の成りたい姿」を達成するための状況を作り上げるための組織としての活動への自信を得るための情報である。

つまり、世間の不確定な詳細の情報ではなく、企業内の達成への意欲や意志を喚起する情報でよいのである。

 そして、状況の変化に対しては、どんなに性格に変化を予測したと思っても当たらないのであるから、組織としては、変化への対応力を如何に付けるかといったテーマを真剣に取り組むべきである。

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次回は『目先の成果よりも将来の糧を』です

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業務革新の進め方⑥ー⑴

Ⅰ業務革新のための価値観について

6.業務革新のための価値観

⑴独自の戦略を持つ

 世の中で流行っている物事は、時として自分を見失わせる程それに引きつけられる。

たとえば、競合他社の動向を意識するあまり、他社が今流行っている新しい技術や技法を導入しようとしているという噂にも敏感に反応し、その研究のために社内にチームをつくるという行動は、経営の場で良く聞く。

 代表的な例としては、トヨタ生産性システム(かんばん方式、ジャスト・イン・タイム、自動化)が挙げられる。

ある企業では、ジャスト・イン・タイムの実践として、1個10銭の部品を、1分90円の賃率の人が、製造の各工程に配膳するために、必要な数を員数し、出庫していた。

平均的な員数に掛かる工数が一件当たり3分で合ったことを考えると、とても経済的とは思えない。

しかし、この企業では、ジャスト・イン・タイムが目的であり、経済的であるかどうかは二の次であった。

 この例のように企業では、活動の目的が「トヨタ生産システムを導入すること」となり、真の目的(本来なら導入に当たって、システムにより達成できる期待や目的があったハズであるが?)を見失ってしまっている。

そして、末端の業務は、「トヨタ生産システムを守る」という使命に縛られることになる。

 しかも、これらの企業の最大の欠点は、先に導入した企業よりも優れた状態(企業内で定着し、経営にとって、そのシステムや技術が先進企業を追い越した状態)を一生掛かっても作りだせないということである。

 このような事では、何時まで経っても牽引車には成れない。

また、牽引車になれなくてもよいのだが、悪いことに、そのことが「当たり前」という意識(活動の前提条件)を作ってしまう。

 本来なら、もっと自社のことを知り、自社の進むべき方向を見定め、「あそこがやるならうちも」という横並び思考を取り除き、自社にとって最も適した方法を自ら創造するように努力すべきである。

そして、アサヒビールの樋口氏曰く「前例がないからやる」という精神が大切である。

 企業は、本来、ユニークな存在である。

したがって、各々の企業にとって必要な技術や技法および戦略は、それぞれに違いがあって当たり前であると考えるべきである。

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次回は『前提は変わるものとして将来を再定義する』です

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業務革新の進め方⑤

Ⅰ業務革新のための価値観について

5.経営センスを磨くための生産性概念

 従来(右肩上がり経済下)の生産性の概念は、

生産性=アウトプット(活動の出力、排出物、他部門への提供物)÷インプット(活動を行うために必要な投入資源)

という概念であった。

この生産性の概念は、「効率追求おいう思考」が脈々と流れている。

つまり、まもり思考、管理思考である。

この思考は、市場が拡大成長する経済下では大変有効であった。

しかし、減速経済においては、この効率追求の概念をベースとした活動は、事業の縮小を意味する。

 たとえば、縮小傾向にある事業の市場で戦っている企業は、生産性の概念を違った視点で見ることが大切である。

具体的には、

 生産性=(事業目的÷活動のアウトプット)×(活動のアウトプット÷インプット)

 ここで「事業目的」とは、事業の存在目的・存在意義といった概念で捉える。

そして、「事業目的と活動のアウトプットとの関係でその活動の効果性を捉え、アウトプットとインプットとの関係でその活動の効率性を捉える。」という概念である。

 たとえば、レコード針を製造する企業に当てはめると、アウトプットはレコード針であり、インプットはそれを製造するに必要なすべての資源である。

 そして、事業目的は、一つは、レコード針に近い目的として、

  「レコード盤上の連続した凹凸を音の流れに変換する道具を提供する。」という目的を得たとする。

この目的を企業の目的として設定すると、企業の活動はレコード針の製造というアウトプットしか考えられない。

 そこで、その目的をより一層上位に設定して、ある程度普遍的な目的へと展開し、

「規則性のある記号を持つ物体から音の信号を取り出し伝える道具を提供する。」

という事業目的を得たとすると、レコード針の製造という活動以外の分野への展開が容易に検討できるであろう。

 つまり、レコード針を製造する企業が、「規則のある記号を持つ物体から音の信号を取り出し伝える道具を提供する。」という事業目的を持ち、前述の生産性概念で活動していれば、市場の捉え方が「レコード針市場」から「規則のある記号を持つ物体から音の信号を取り出し伝える市場」へと変化し、自ずと経営判断のために必要な情報の集まり方が変わり、より広い市場の変化を読み取り、市場変化に対応するためのより適切な行動が取れた可能性を向上したであろう。

 このように、減速経済下で求められる部門経営者が持つべき指標は、ここでいう「事業目的」と「アウトプット」の関係で示される「効果性」という生産性の概念である。

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次回は『業務革新のための価値観』です

 

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業務革新の進め方④

Ⅰ業務革新のための価値観について

4.管理センスよりも経営センスが求められている

 このように、過去から引き継がれた組織の経験の蓄積をベースとした業務に限界が見え始めた今日、最も顕著な変化を求められているのは管理業務である。

 たとえば、組織の見直しの段階でよく検討されるようになった「組織のフラット化」は「管理し管理する」という機能を排除し、それぞれの個人をより意思決定へ近づけ、機動性のある組織を作ろうという思考である。

 近い将来、管理のための管理業務の存在価値が問われることになるだろう。 

それは、過去の経験を蓄積し、過去の行動を修正し、次の計画につなげていこうとすることの必要性を問うときである。

 その時もはや、結果を捉えた過去のデータ(過去のエリア別売上高、年齢別売上高等)は、使い物にならず、将来を予測するデータが見つからないという時代に突入している。

 現在は、過去からの穏やかな流れの中に身を任せた良き時代は終わり、濁流の中に身を投じ、自らの手で流れを作り出さなければ、将来が無い時代の始まりに立っている。

そこには、将来を予測することは役に立たず、将来を創造することが必要となる。

 そして、これからは、過去のことを振り返っている暇はない。

たとえば、これからの時代は、トラブルが発生したら、トラブルが発生しないように管理する(規制を設ける)といった思考では対応できない。

何故なら、対象は常に変化するのであるから、ある対象のトラブルを管理してもその対象は直ぐに縮小し、新たな対象が生まれ、すぐに、別の所で新たな別のトラブルが発生することになる。

 つまり、出るものを押さえる方式の管理という行動には限界が生じてくるものである。

このような、「戦略転換期」に求められるものは、事業創造を担う経営的なセンスである。

 ここで、小川守正氏の著書「実践経営学」の中で、管理と経営の違いが述べられているので、それを引用すると、

『管理は、与えられた命令を、原則として定められた方法やルールに従って実行する行動であるのに対し、経営は自ら設定した目標を自らの方針により、自らの責任において実現しようという行動である。

また、管理には抑圧があるが、経営には新たな創造という自由があるし、管理の評価は与えられた目標の達成度による上司の主観的評価であるのに対し、経営の評価は投入資源と結果との関係において求められる。』

といっている。

 このことは、「戦略転換期」に求められる行動を、「組織の方針を踏まえ、自ら目標・方針(業務)を設定し、自らの責任において実現しようという行動」と定義する。

そして、前述の小川守正氏は著書「実践経営学」の中で、「部門経営論」を展開している。

ここで、部門経営とは、各部門を管理の場と捉えるのではなく、経営の場として捉えようとするものである。

 このような経営の場では、状況を創造する事が必要である。

そして、状況を創造するためには新たな価値観が必要であり、その価値観を共有化できなければ、組織的な革新行動が迅速に行えない組織であるといえる。

 つまり、経営者や部門長には、管理という同じ価値観の土俵での活動から革新という新たな価値観の土俵を創り、その価値観の共有化を図り、迅速な対応行動をリードする活動が求められているのである。

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業務革新の進め方③

Ⅰ業務革新のための価値観について

3.新たな価値観や対応行動が求められている

 ここで、関根次郎氏の著書「トップダウンの経営」を見ると、戦略のライフ・サイクルとして、「戦略創造期」・「戦略展開期」・「戦略転換期」の三つのステージを挙げている。

そして、「戦略創造期」・「戦略転換期」における経営システムと「戦略転換期」における経営システムとの間では、相反する価値観や対応行動が求められていると書かれている。

 このことから、現在は、「戦略転換期」に突入しており、積み重ねた成功体験を基にした経営システムに対する価値観や対応行動に変わる新たな経営システムに対する価値観や対応行動を必要としているのではないかと考えられる。

 ここに一つの興味深い言葉がある。

それは、トム・ピーターズの経営破壊の中で、補聴器メーカーのオティコン社のコリンド社長の言葉である。

それは、「従来の組織の枠組みを外す。つまり、すべての部課を廃止し、管理職の肩書きを一切なくすなど、型にはまった月並みな組織を丸ごと取り払った。おかげで、非常に競争力がついた。」と語っている。

 これは正しく、過去の成功を支えたシステムの価値観をブレイクスルーすることで達成できたことであろう。

「ブレイクスルーする」ということは、言葉では一件簡単なようであるが、今日の経営者や管理者は、「どのように考えればブレイクスルーできるのか」ということに最も悩んでいるのではないだろうか。

 ここで、ブレイクスルーする時に大切な考え方を紹介する。

それは、マーフィーの法則の中「ホーキンズの進化論」という項で述べられていることである。

 ここでは、

  『進化とは間違った理論を正しい理論に置き換えることではない。間違った理論をより微妙に間違っている理論と置き換えることである。』

といっている。

このことから考えると、間違ったと判断する基準こそ、過去の成功体験からくる価値観や対応行動ではないのか、将来の正しいと思われる行動に対して、この判断は出来ないのではないかということである。

 つまり、ブレイクスルーし、革命の時代を乗り切るためには、過去の成功体験から作られる判断基準(価値観)を捨て去る勇気と判断が必要であるということである。

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業務革新の進め方②

Ⅰ業務革新のための価値観について

2.成功体験が邪魔になる時代が来た

 今日の組織の階層を振り返ると、大抵の組織では、上層部に過去の成功体験者を起用している。

これは、事業の前提となっている事業環境等が規模の拡大はあるにせよ、根本的には変化しないという前提からであろう。

 ここで大切なことは、経営者として、このように「経営の前提となる条件に根本的な変化はない」と認識するか、それとも、トム・ピーターズが、その「経営破壊」という著書の中で「今日の激動の時代では、改革というよりも革命というキーワードの方が適切である。」といっている様に、変革という生温かい変化ではなく、もっと劇的な変化を意味する革命というイメージを経営の中に認識するかである。

 時間の経過と共に、日常の業務活動においても、徐々にではあるが、その役割(目的)が変化している。

例えば、10年前の業務と現在の業務を比較して頂きたい。

10年前の一般企業では、まだ、大型のコンピューターシステムを有するデータの集中処理を中心とする業務システムが大半であった。

しかし、現在のシステムは、エンドユーザー・コンピューティングを思考した業務システムへと変化してきている。

これらは、ネットワークシステムの発達やそれを活用した経営のオープン化により、より一層の変化を求められるであろう。

 このように、会社の内外を問わずシステムや様々なトリガーが、経営やそれを司る業務システムの変革を促している。

そして、そのサイクルが今日では、確実に短くなってきているという事実を認識すべきである。

 このような時代において、過去の成功体験(事例)が、変化に対応する機会を遅らせることがある。

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業務革新の進め方①

Ⅰ業務革新のための価値観について

⑴改善思考の役割は終わった

 今日、良く言われる減速経済化において、従来からある改善思考は役割を果たせなくな

ってきた。 それは、従来からの改善思考の前提には、改善対象が継続的に発展すると

いう状況が設定されている。 それは、改善のテーマをとして取り上げた時点で、そのテー

マ達成が、今後も有効であるという保証があったということである。

 しかし、減速経済下では、ややもすると、改善のテーマをとして取り上げた時点で、その

改善が役立たないという状況が生まれるかもしれない。 そうなると、改善思考の前提が

成り立たなくなる。つまり、改善テーマを取り上げた状況が、改善テーマの完了まで持ちこ

たえるかどうかさえ、不透明になってきたということである。

 従って、過去の状態をよりよくしていこうとする改善思考は、減速経済下では、その役割

を果たせなくなってきた。

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