効果性評価の重要性
2008年6月19日付けの産経新聞に、京都大学大学院研究科 中山建夫教授のコラムがありました。そこで語られていることは、部分的に抜粋すると、不整脈の患者に抗不整脈薬を投与し、不整脈を抑えるという目標は、代理目標であり、真の目標は不整脈を減らすことではなく、生き抜いて社会に復帰することである。また、抗癌薬を投与して癌が小さくなったが亡くなったという例があり、ここでも、抗癌薬を投与して癌を小さくすることは、代理目標であって、真の目標は、患者さんがQOLを保ち長く生きることである。真の目標として、患者立脚型エンドポイントという視点として、余命の延長(死亡率の低下)、重い病の発生率の低下、自覚症状の減少やQOLが挙げられていた。
この記事を読んで、私が提唱している効果性についての概念が、大切であると再認識しました。効果性は、目的に対する手段(アウトプット)の効果(貢献度)を測定しようという視点です。この記事の例では、抗不整脈薬の投与は、不整脈を抑えるというアウトプット(結果)を得ることができるが、目的である「生き抜いて社会に復帰する」という目的に対する効果の測定(貢献予測)ができれば、抗不整脈薬の投与による不整脈の抑制の必要性(効果性)を判断できます。同様に、抗癌薬の投与は、小さくなった癌というアウトプットを得ることができるが、目的である「患者さんがQOLを保ち長く生きる」という視点での効果の測定(貢献予測)ができれば、抗癌薬の投与による癌を小さくすることの必要性(効果性)を判断できます。
このように、実施しようとしていること(手段)で得られる結果(アウトプット)が、達成しようとする目的(明確な状態が定義できれば目標)に対して、どの程度貢献できるか?ないしはその手段の必要性がどの程度あるか?という効果性の評価を行うことで、無駄な行動を避けることができます。とは言っても、評価のために時間やコストを掛けることを懸念する方も多いと思います。例えば、事前に行う計画段階の評価は、経験値をフィードバックすること行われますので、経験の無い事象に対しては、過去の経験から類推できる評価視点を仮に設定し、実行後の実績から適切な評価視点を設定することが必要となり、評価しなくても良いではないか?という意見もあるでしょう。しかし、このような試行を繰り返すことで類推の精度は確実に向上することが期待できることも事実です。
このように、評価視点は、経験を元にしたものですから、組織(ないしは個人)のノウハウとして重要な財産となります。そのため、評価のための評価ではなく、組織力を向上するための評価であることを認識して、評価に対するある程度のコスト(投資)は必要であるという認識に立てば、今できる評価尺の設定や単なる死亡診断書のような評価視点での評価は無駄であり、再現性のある評価視点を取り入れることが重要であることも納得いただけるのではないでしょうか。
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