金融機関における品格
昨年初めころまで、最高益を更新などという見出しが華やかに紙面を飾っていたが、今年は、何年来の赤字転落という紙面が目立つようになりました。振り返れば、成長と減速の2極化が進み、企業という面は成長したが、個人という面は多くの人が減速していたのではないのかと思います。
経済活動は、すべてがバブルに向かうという人がいます。
確かに、土地・株・証券・先物など、取引が行われる場面では、心理的な面が大きく左右します。ここでの心理は、“儲かる”という心理です。この“儲かる”という心理が膨らんで行くと、実態と掛け離れたバブルが作られるのでしょう。
土地バブルでも、東京都の土地とアメリカ全土が同額などということがありました。そして、バブルの膨らみが限界に達すると、“儲かる”という幻想が崩壊し、一転して実態に近づこうとする取引きが行われます。
その中心に存在しているのが金融機関です。“儲かる”という幻想の中で貸出の審査が甘くなり、様々な人を巻き込んでバブルを膨らませてしまう、一転バブルが崩壊すると、貸出の審査が厳しくなり、巻き込まれた人の梯子を外し始める。結果、巻き込まれた人はパニックになり、崩壊に拍車が掛る。
金融機関は、人々の実態からかけ離れた“儲かる”という幻想から冷静な判断ができる理性を持てるように促すべきです。つまり、金融機関の社会的な使命の一つに、「バブルに向かう人々の“儲かる”という心理レベルを抑制する」という点があるのではないでしょうか。
殆どの金融商品は、“儲かる(ないしは得をする)”という心理がベースとなって存在します。例えば、お金を預けるのであれば少しでも金利の高い方に、よりリターンの多い商品を選択し、お金を借りるのであれば少しでも金利の低い方を選択するというように、どちらが儲かるないしは得かという視点が必ず入ります。
一度儲かったという経験をすると、たとえリスクがあっても儲かるという心理がリスクを見えなくし、自分だけは大丈夫であるかのような錯覚を起こしてしまう。
金融機関は、このような心理という非常に危険な商品を取りあっかっているのですから、このような心理を適切なレベルでコントロールすることを心がけなければなりません。ここに、金融機関の品格が問われます。
行政もそうですが、社会に大きな影響を与える社会システムの中にある組織やそこで働く人々には、品格が絶対条件として求められるのです。どんなに優秀であろうと、品格がない人が携われば、優秀であればある程、社会を揺るがす大きな問題を起こす可能性が高くなります。
これからに社会における格付け機関は、財務的な側面だけでなく、品格を適切に評価し格付けることが求められるのではないでしょうか。
By 尾嶋 繁
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