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システム構成要素と経営的な切り口のマトリック(1)

今回は、以前紹介したワークデザインにおけるシステムの捉え方について考えます。ここで取り上げる例は、ホワイトカラーの業務ではありませんが、最近ある方と話をした介護の現場における「排泄介助」という業務を取り上げて説明します。

この時の話の切り口は、“リスクマネジメント”に関するテーマでしたので、経営的な切り口にリスクを取り上げます。

話を進める上で最初に考えなければならないのは、システムの構成要素である目的の検討です。まず、「排泄介助」の目的を考えます。以前“目的による管理”において述べた“一つの活動に対して目的は複数存在する”という点を思い出して下さい。

「排泄介助」の目的は、

◆被介護者が排泄できる

◆排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる

など、様々な目的が考えられます。しかし、システムを検討する場合は着目する目的を一つに絞ることが必要になります。

何故なら、「被介護者が排泄できる」を目的として選択すれば、リスクマネジメントのシステムとしては、排泄に至るオペレーションの中にあるリスク(環境も含めて)に関して取り上げたシステムを検討すればよいことになります。

一方、「排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる」を目的として選択すると、排泄に至るオペレーションだけでなく、排泄の結果としての便の状態や排泄に至る過程の違い、排泄を訴える被介護者の方の状態などを含め、排泄という一連の行為から健康上のリスクをどのように捉えるかに関しても整理する必要があります。

このように、目的の捉え方で検討するシステムの姿が違ってしまうため、設計しようとするシステムの目的をしっかりと定義することが必要になるのです。このことは、問題解決を考える時も同じです。一般に問題解決の方法(思考法)は、目的や目標が定まってからの事象に有効なものが多く、これらの中に適切な目的や目標を定める方法(思考法)として有効なものが見当たりません。

問題解決の方法論や思考法がうまく活用できないのは、適切な目的や目標を定めることができないためです。如何なる場合においても思考の原点に目的や目標が意識されており、目的や目標をどのように定義(イメージ)するかで、結果の良し悪しが決まるので、目的や目標をどのように定義(イメージ)するかは、良い結果を得るためには大切なことなのです。

目的が定義できたら、経営面の切り口であるリスクとの関係を考えます。ここで考えることは、定義した目的に内在するリスクがあるかどうかという点です。ここでは、先ほど取り上げた目的を題材に考えます。

まず、「被介護者が排泄できる」を目的として選択したとします。この目的を選択した場合のリスクとして考えられることは、

・排泄という行為を目的とすることで、排泄における被介護者の負担を軽視する可能性がある。(下剤の投薬や過剰な水分補給など)

・排泄という行為を目的とすることで、排泄の行為を通しての被介護者のADL等へ貢献を軽視する可能性がある。(個別トイレやおむつなど)

などが上げられます。次に、「排泄の上位の目的である被介護者が健康を維持できる」を目的とし選択した場合は、

・排泄という行為を通して被介護者の健康を維持することを目的とすることで、生活の楽しさ、心地良さ、美味しさといった気持を軽視する可能性がある。(多少便秘に成ろうとも好きな食べ物を食べたいという気持ちとのバランスなど)

・排泄という行為を通して被介護者の健康を維持することを目的とすることで、食事・就寝・運動・入浴・排泄・・・などの総合的な健康システムの中に排泄を位置づけて考える過程で、排泄行為そのものを軽視する可能性がある。(被介護者の排泄のし易さや排泄の一連の行動におけるリスクヘッジの面と健康とのバランスなど)

などが上げられます。このように、設計しようとするシステムの構成要素と経営面の切り口を対峙して考えることで、設計するシステムにおいて配慮すべき点を抽出することができます。

次回は、システムの構成要素であるアウトプットについて考えます。

by 尾嶋 繁

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