目的と目標の峻別
今回は、目的と目標についてある方と話す機会があり、目標と目的を適切にとらえていないことへの驚きから、私の捉え方を書くことにしました。
普段、私たちは、“目的”と“目標”を意識して区別した活用をしておらず、混同して活用しています。企業において、目的について議論をしていると、皆さんが挙げる目的には、会社の売り上げを伸ばすとか、会社の利益を増やすという言葉が必ず出てきます。忠実な企業戦士らしい思考なのですが、これらの表現は、厳密に言えば目標です。
従って、会社の売上を伸ばすことや利益を増やすことは、単独では意味のない存在です。つまり、売上を伸ばすだけでは意味を見出せないのです。そこに目的を付帯させることで存在の意味を持つことができます。例えば、売上を伸ばすのは会社を存続させるため、利益を増やすのは働く社員に賃金を支払うため、利益を増やすのは新しい事業に投資するため・・・などです。
このように、意味を持たせるものが目的です。しかし、目的には、目標の域にある目的と真の目的(志や存在価値)があります。先ほどの目的表現は“自己目的”と言われるもので、やはり厳密に言えば目標の域にある目的です。
先ほどの例で真の目的を考えます。
→会社を存続させる意味は、会社が行う事業により提供する物やサービスの価値を問います。
→働く社員に賃金を支払うことの直接的な意味は、社員が自分のライフスタイルに合った生活を送るためで、そのライフスタイルには様々なものがあります。
→新しい事業を行うための投資を行うことの直接的な意味は、会社を存続させることです。この目的は真の目的ではありませんので、その意味を問います。つまり、新しく行う事業により提供する物やサービスの価値を問います。
以上のことから分かるように、真の目的は、それぞれに唯一の目的になります。
・目標は、活動の到達点を示します。
・自己目的は、活動が自分(自分たち)にとってどのような価値を見いだせるかについて示します。
・真の目的は、活動の対象にとって、この活動がどのような価値を見いだせるかについて示します。真の目的は、活動の真理を示すものと言っても良いかもしれません。
このように、目標、自己目的、真の目的を、正しく定義し区分し、目標は自己目的の達成のために、目標や自己目的の達成は、真の目的の達成のためにあるという関係を理解して行動することで、バランスの良い仕事を行うことができます。
このバランスが崩れ、目標や自己目的が強くなり行き過ぎると、不正に手を染めることへの罪悪感を薄めることもあります。昨今の社会保険庁の例や食品偽装などの会見を聞いていると、目標や自己目的が異常に強くなり過ぎた結果だということが分かります。なぜその時、真の目的を自問しなかったのか、残念でなりません。
by 尾嶋 繁
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